・内科部長の再来@PM12:30

「やあ、三日ぶりだねキリルさん」
「……あなたに対してどうしているのかとか何故いるのかとか聞くだけ無駄だということはわかりましたが、これだけは聞かせてください。暇なんですか……?」
「やだな、僕はいつだって忙しいよ。今も昼休憩の時間なんだ。午後からは診療に戻らなきゃ」
「ハルモニア総合病院って結構遠いですよね?よく来れましたね」
「うん、救急車に乗ってきたからね。赤信号なんて関係ないよ」
「公私混同はやめてください!」
「あ、いいなあそのツッコミ。最近僕の周りの人間がツッコミ放棄をしだしたんだ、放置プレイかな?」
「できれば僕も放棄したいんですが……」
「ところで今日やってきたのはね、これを渡すためなんだ」
「?なんですかこれ。テーブルクロス?水玉…じゃないや、所々十字も混じってますね」
「うん、ハルモニアとGUNTOの友好の証だよ。ヒクサクさまからのプレゼントだ」
「うっわあ…………」
「あはは、予想通りの反応をありがとう。ちゃんと使ってね。今すぐこの社長室のテーブルに掛けといて」
「なんでですか。嫌な予感しかしないんですけど」
「君のその勘は大事にすべきだね。でも、人付き合いはそれ以上に大事にすべきだよ……?」
「嫌なフラグを立てないでください!このマルとバツのテーブルクロスはちゃんと使いますから、もう帰って……!」
「いやだなあ、ちゃんと円って言ってくれないと。バツイチのレイくんが泣いちゃうよ?」
「違いますから!……え、違うよねレイ!?バツイチじゃないよね!?」


***


・外科部長の推参@PM16:00

「邪魔するよ」
「……今日は何の日なんですか?ハルモニア記念日?」
「当たらずとも遠からずだけど違う」
「遠くないの!?」
「時間がないんだ、さっさと本題に入らせてくれる?こっちはオペのあと急いでドクターヘリで来たんだから」
「ハルモニアって……」
「何。言っとくけど教義のおかしさならあんたに言われずとも僕が一番良く知ってるよ」
「ああ、うん、でしょうね……」
「?何溜息吐いてんのさ。まあいいや、簡潔に用件だけ言って帰るよ。ごめん」
「え、何が?」
「だから、悪かったって。この僕が謝ってるんだから大人しく受けときなよ」
「……用件が、謝罪なんですか……?」
「そう。電話で済ませようかと思ったんだけど、それじゃあまりにも申し訳ないってセラとアルベルトばかりかユーバーまで言うもんだから」
「これから何が起こるんですか……!」
「詫びに僕のメスを一本置いてくよ。ついでにササライからぶんどった注射器もつけておく」
「凶器だけ渡されても!」
「じゃあ僕はこれで。ヘリを待たせてるから」
「謝罪より説明をください……!」


***


・総帥の来臨@PM18:30

「ふむ、君がキリルか」
「……はじめまして。ヒクサク総帥でいらっしゃいますか……?」
「いかにも」
「……ええと、あの、GUNTOにはどういったご用件で……?」
「うむ……。実は、私の息子たちはハルモニアの学校に通っていたため、常に特別待遇だった」
「はあ……」
「つまり私は父兄参観の類に行ったことがない。これは由々しき事態じゃないか、と先日の家族会議で話題になってな」
「え?じゃあつまりこれ、父兄参観なんですか?でも本人たちがいませんよ?」
「うむ。私としては三者面談ないし四者面談がやりたかったんだが、ルックが頑として譲らなくて二者面談になった。あれの反抗期はもう終わらないな」
「ええっと……。僕は彼らの教師でもなんでもないんですが」
「無論知っている。だが今のあれらの唯一の上司は私だからな。とりあえずGUNTOで手を打つことになった」
「打たないでくださいよ……!僕に彼らの何を話せと!」
「そんな事態もあろうかと、会話が弾むアイテムを持参した。まずはその聖典の69ページを開いてくれ」
「まさかのハルモニア聖典……!僕は入信しませんよ!」
「話は縄文時代の無限の可能性を語り終えてからだ。親の心子知らずと彼らも言っている。そう言えば君の父君は元気に泳いでいるか」
「僕の父さんはまだ人間ですよ!」
「魚人になる日も遠くないな、私が予言する」
「しないでくださいよ本当に……!!」



キリルさまごめんなさい。