・テロ対策本部のおしごと

キリル『……はい、どちらさまですか?』
クライブ「キリル社長か。クライブだ」
キリル『え、ほんとにどちらさまですか?これ僕のプライベートケータイなんですけど、なんで番号を?』
クライブ「愚問だな。ヒクサクさまに教えていただいた」
キリル『やっぱりハルモニアンですか!というか僕ヒクサク総帥にケーバンなんて教えてませんよ!』
クライブ「ヒクサクさまのことだ。不思議ではあるまい」
キリル『そういう問題じゃないんですけどね。どうなってるのハルモニアの情報管理!』
クライブ「組合には個人情報の保護などという概念はない。情報とは使うものだろう」
キリル『保護大事!……組合?労組か何かですか?』
クライブ「まさか。われわれはハルモニアテロ対策本部、ほえ猛る声の組合。GUNTOの侵略になど屈しないと伝えるために連絡した次第だ」
キリル『ちょっと待って待って誤解です!侵略ってなんですか!うちにそんな意図はありません!』
クライブ「あれが侵略でなくて何だ。あのロイヤルブルーの魚人が外科病棟正面に飾られた初日、通りかかった職員の実に9割が三歩引いた」
キリル『……よりにもよってそんなところに飾っちゃったんですか。残りの1割が地味に気になりますけど、きっとササライ先生とかだろうなあ……。じゃなくて!それは僕の責任ではないと思いますが』
クライブ「そして翌日からはルック外科部長を除く全員が朝夕の挨拶をし始めた。これは立派な侵略だろう」
キリル『順応早いなハルモニアン!知りませんよ、馴染んでるならいいじゃないですか!』
クライブ「……交渉決裂だな」
キリル『え、交渉だったんですか今までの!?……えーっと、とりあえずヒクサク総帥は喜んでおられましたよ、魚人スーツ。たぶん』
クライブ「フン、見くびらないでもらおうか。われわれは神殿(ハルモニア教本部)の犬ではない。総帥の意向に関わらず、善きハルモニアの実現のために動くだけだ」
キリル『テロ対策本部ってそういう仕事するところでしたっけ』
クライブ「テロ対策は表の仕事。我々組合の本業は守護と暗殺だ。つまり要人の護衛からハルモニアに仇なす者の社会的抹殺までを担っている」
キリル『ほんとなんなのハルモニア!もう勘弁してください!』


***


・天速星悲喜こもごも

キャザリー「おや。ラトキエ家の坊やじゃないですか。お久しぶりです」
ナッシュ「……なんであんたがここに。出戻りか?場合によってはファレナ警報を鳴らさなきゃいけないんだが」
キャザリー「所用で来ただけですよ。あなたは確か左遷されたんでしたっけ、ササライ内科部長のもとに」
ナッシュ「……一応栄転だ」
キャザリー「ササライさまのもとへの異動=栄転という名の左遷、というハルモニア不文律を知らないわけではないでしょう、坊や」
ナッシュ「ちょっと黙ってくれないか」
キャザリー「フ、足の遅い天速星が何を偉そうに。先輩として恥ずかしい限りです。しかもあなたは馬鹿みたいに運が悪い」
ナッシュ「くっ……」
キャザリー「そこで言い返せないからササライさまのオモチャになるのですよ」
ナッシュ「ほんとに黙ってくれないか」
キャザリー「良いですよ、あなたに構っている時間などありませんし。任務を果たしたらすぐに帰還しなければ」
ナッシュ「……任務って?」
キャザリー「言うと思いますか?」
ナッシュ「言わせるさ。あんたがファレナに寝返るのは構わないが、ハルモニアに仇なすなら放っておくわけにはいかない」
キャザリー「仕方ない、ならば白状しましょう。組合のトップに関する情報を入手しに来たのです」
ナッシュ「トップ?クライブたちのことか?何をする気だ!」
キャザリー「私の在籍時から続くクライブ・ケリィ・エルザの三角関係のその後が気になって気になって。確認してきたいのですが、と王子に申し上げたところ、満面の笑みでOKが出ました。是非とも僕にも教えてくれたまえ、結婚式の用意はしておこう!というサムアップ付きです。そこでササライさまに連絡を取ってみたら、良いよ部下に報告書を上げさせるね、と即決なさいました。お二人とも柔軟な思考を持った上司ですね」
ナッシュ「その報告書は昨日俺が提出したよあんたのせいか畜生!」
キャザリー「部下の報告書に私見を加えて渡すね、と仰っていました。できたお方です」
ナッシュ「潰れた俺の有給を返せ……!」





攻略サイトを見て戦慄しました。キャザリーは5キャラで最高の技・命中・速さ・運ステと最低のHP・魔力を誇ります。クライブはこんなはずじゃなかった。