翌日、夜明け前。墓碑の前には、華やかな花束の傍に一輪の花とウイスキーのボトル。

「やれやれ…。出張だというからこんな早朝に来たんだがね。どうして既にあるんだこの花束は。知ってるか?毎回先を越されるからもしやと思っていたが、前日に来てるんじゃないのかアレは。まったく、そこまで意地を張ることもないだろうに…。というか、往生際が悪いと思わないか?ああそうだ、先日グレイシアに会ったよ。エリシアにもな。彼女たちも今日ここに来るだろうが、元気でやっていたよ。エリシアは随分大きくなったな、将来は美人になりそうだ。……安心しろ、手は出さないから。俺だっておまえの子供にちょっかい掛けるほど堕ちてはいない。そもそも既に本命がいることだしな。ん、なんだおまえはまだ反対してるのか。なに、あの子ももうじき二十歳だ、障害はなくなると思わないか?おまえがよく理由にしていた『未成年』は使えなくなるぞ。
 と、まずい、そろそろ時間だ。慌しくて悪いな。今度またゆっくりと話をしに来るよ。それじゃ。
 …ああ、そうだ、言い忘れていた。

 今までも、これからも。友として君を愛しているよ、ヒューズ。」